いざ内視鏡検査へ!
いよいよ12月。
本当なら楽しいイベントがある、街中が明るくにぎやかな月です。
そんな中、不安な気持ちで毎日を過ごし、やっと内視鏡検査の日を迎えることになります。
大腸の内視鏡検査を15歳の子どもが受ける。
この事実自体が、親の私たちには辛いものでした。
本人はもっと辛いでしょうし、不安なはずです。
検査が始まるまで、とにかく私は「大丈夫だよ」「これが終わったら美味しいもの食べに行こう」と声をかけたり、冗談を言ったりしていました。
ありきたりの言葉すぎて情けなくなりましたが、それしか自分にできることがないのです。
看護婦さんに「じゃ、検査に行きましょうか」と言われた時の息子の不安な顔は今でも忘れられません。
私は、「ここで待ってるからね」と言って笑顔で手を握りました。

しばらくして検査が終わり、息子を見てホッとした自分がいました。
息子も「やっと終わった~」と笑顔。
ただ、まだ結果を聞いていません。
少しして診察室に呼ばれ、いざ検査の結果です。
内視鏡で撮った写真を画面に出しながら、先生がひと言。
「クローン病の可能性があります」
また出てきたクローン病という名前。
私も息子も「え?」という反応でした。
ただ生検をしないと確定診断ができないということで、2週間後まで結果待ちです。
検査が終わってホッとしたのもつかの間、クローン病の可能性があると言われて新たな不安が出てきました。
「可能性がある」という表現は、時には残酷です。
「もしかしたら違うかも、でもそうかも」と延々と考えてしまうから。
「生検の結果が出るまでは、あんまり考えないようにしよう」と家族で言っていましたが、私も夫も息子もそれぞれがクローン病について検索していたと思います。

クリスマスの翌日に、検査結果を聞きに病院へ向かいました。
生検の結果の用紙を見せられ、先生が言った言葉は「やはりクローン病です」でした。
息子も私も、内視鏡検査の結果を聞いたときほど驚くこともなく、落ち着いていたと思います。
どこかで「やっぱりそうか」という気持ちがあったのかもしれません。
その時の気持ちは、不思議なほどすっきりしていました。
原因が分からないでずっと不安だった9か月間。
確定診断が出て、これでやっと原因が分かったという安堵感だったのでしょう。
検査をした病院では機器がそろっていないということで、治療は、機器がそろっていて専門の先生がいる医大ですることにしました。
紹介状を書いてもらい、クローン病の治療用に「ペンタサ顆粒」が処方されました。
クローン病の治療用の薬が手元にあるのは、心強かったです。
医大に年明けに受診の予約を入れ、クローン病だという現実はひとまず心の奥にしまって年越しの準備をし始めました。

